この記事をお読みのなかには、離婚はしたいと思っているのだけど、具体的にどのようなことをすればいいのか解らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、離婚するには、大変なエネルギーそして時間がかかります。実際に離婚を経験された方に聞くと、離婚調停や離婚訴訟を行わねばならず離婚までに2年もかかってしまった、離婚は結婚の何倍ものエネルギーが必要だった、離婚を決意するまでよりも離婚調停や離婚訴訟の最中のストレスの方がはるかに大きかった、別居にあたっての引っ越し代やその後の生活費が思った以上にかかってしまったというような声が多く聞かれます。
今回は、離婚をしたいけれども具体的にはどういうことをすればいいの?と思っていらっしゃる方に向けて、離婚を思い立った後、なるべくスムーズに離婚を進めるために準備すべき6つのことをご紹介したいと思います。少しでもお役にたてば幸いです。
では、さっそく準備すべき6つのことをご紹介しましょう。それは次のとおりです。
離婚には時間・エネルギー・お金がかかるので準備が大切!離婚にあたって準備すべき6つのこと
1.離婚後経済的に自立できるように準備
2.離婚後もらえる可能性があるお金について知っておく
3.離婚時に相手方へ金銭を請求するための準備
4.離婚後の住まいを探しておく
5.離婚後の仕事を確保しておく
6.離婚の準備として精神的な独立も必要!
それでは、具体的にどういうことなのか見ていきましょう。
1、経済的に自立できるように準備(預貯金の作り方)
離婚後の生活でまず考えなくてはいけないのは経済的な自立です。身も蓋もない話ですが先立つものはお金です。離婚したいけれども離婚後の生活を考えると離婚できないとあきらめてしまう方が多いくらい、経済的な問題は重要です。特に夫の収入に経済的に依存している妻にはもっとも重要かつ重大な問題だといえるでしょう。
離婚にあたっては、別居が必要になりますが、別居には引っ越し費用や敷金礼金、当座の生活費などまとまったお金が必要になります。これらを考えるとできれば100万円くらいは確保しておきたいところです。夫からもらう慰謝料で賄えるのでは?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、慰謝料は離婚後でないともらえませんし、そもそも離婚の原因によっては全くもらえないケースも多いです。したがって、日頃からご自身名義の預貯金を作るようにすることが重要になります。離婚を少しでも考えるようになったら、仕事を増やす、倹約するなどしてお金をためるようにしましょう。
2、離婚後もらえる可能性があるお金について知っておく
離婚に際しては次のようなお金をもらえる場合があります。離婚の話し合いの間や離婚後の生活設計にあたり、自分はどれについて、どれくらいもらえそうかということを知っておく必要があります。
(1)婚姻費用
夫には妻の生活の面倒をみる義務 (扶養義務) があるので、別居してから離婚するまでの生活費を婚姻費用として分担請求できます。これは請求すれば、必ずもらえるものなので、別居したらなるべく早く請求しましょう。具体的な金額は、基本的には、家庭裁判所の定める基準(算定表)に基づいて決まります。
婚姻費用の請求方法については、「婚姻費用分担請求をして安定した生活を確保するための方法すべて」をご参照下さい。
(2)慰謝料
離婚原因が、相手方の不倫やDVなど「相手が一方的に悪い」ものである場合は慰謝料を請求できます。しかし、性格の不一致などどちらか一方だけ悪いというものである場合には相手に慰謝料を請求することはできません。
離婚時の慰謝料について詳しくは、「離婚時の慰謝料の相場とできるだけ多くの慰謝料をもらうための方法」をご参照下さい。
(3)財産分与
離婚に際して、夫婦共同で増やした財産は2分の1の割合で清算します。財産の名義は問いません。しかし、増えたといっても相続で得た財産や婚姻前からも持っていた財産である場合は分与の対象になりません。また、借金が多い場合には分けるべき財産はないということになります。
財産分与について詳しくは、「離婚時に損しないために!財産分与についてまとめ」をご参照下さい。
(4)養育費
お子さんがいる場合には、離婚後、通常お子さんが20歳になるまで養育費をもらうことができます。これも①婚姻費用と同様家庭裁判所の基準(算定表)に基づいて具体的な金額が決まるのが一般的です。
養育費について詳しくは、「離婚時の養育費の相場とできるだけ多くの養育費をもらうための方法」をご参照下さい。
(5)公的な助成金
離婚にあたってあなたがシングルマザーとなった場合、母子手当など様々な公的な助成金をもらえる可能性があります。
具体的には、「専業主婦が離婚する際に知っておくべき12のポイント」にまとめておりますのでご参照下さい。
3、離婚時に相手方へ金銭を請求するための準備
離婚にあたっては、「3、離婚後もらえる可能性があるお金について知っておく」で述べたようにいくつかの金銭請求が可能な場合がありますが、慰謝料と財産分与を求めるにあたっては資料(証拠)の準備が必要です。
(1)慰謝料について
慰謝料を請求するにあたっては、慰謝料の発生原因となる事実(不倫、DV等)を証明するための資料(証拠)が不可欠です。
具体的な証拠や収集の方法は「離婚時の慰謝料の相場とできるだけ多くの慰謝料をもらうための方法」をご参照下さい。
(2)財産分与について
財産分与を請求するにあたっては、夫婦の共有財産についての資料が必要になります。たとえば預貯金の通帳、不動産の登記簿等です。
具体的な証拠や収集の方法は「離婚時に損しないために!財産分与についてまとめ」をご参照下さい。
4、離婚後の住まいを探しておく
離婚にあたっては新たな住まいを見つける必要があります。しかし、住まいを見つけるのは簡単ではありません。たとえば、希望の場所や予算で、気に入るところがすぐに見つかるわけではありません。そのような場合、一時的にはウィークリーマンションを借りたり、実家に帰ったりするということもありうると思いますが、いずれにせよ離婚にあたり行くところがあるということは精神的な安心感にもつながりますので、離婚後の住まいについても確保しておくようにするのが良いでしょう。
5、離婚後の仕事を確保し
「3、経済的に自立できるように準備(預貯金の作り方)」でも述べたように、離婚後は基本的にご自身の収入だけで生活していかなくてはいけませんのでそのための準備が欠かせません。
そのためには、安定した仕事を確保する必要があるでしょう。専業主婦の方であればまずは仕事を見つける必要があるでしょうし、すでに働かれている方であっても、ご自身の収入だけでは今後の生活が厳しそうだということであれば転職を検討したり、あるいは、資格を取得して大幅な収入アップをはかったりということが必要でしょう。
6、離婚の準備として精神的な独立も必要
離婚にあたっては、今述べてきたようなことだけでなく、お子さんに関すること、弁護士を使う場合は弁護士とのやり取りなど、考えなければならないこと、しなければならないことが山のようにあります。そして、それらはすべてご自身で決めていかなければなりません。もちろん、悩みをご相談できる親族やご友人がいらっしゃる場合もあるでしょうが、多くの問題がプライベートなことで相談するのがはばかられるようなケースも多いのが離婚問題の特徴です
離婚にあたっては、このような様々な対応・決断をひとりで行わなければならないという心の準備、精神的な自立ということも必要になるといえるでしょう
準備が整った段階で未成年のお子様がおられる場合は、子供さんを連れて別居するという強硬手段を取られる方もおられます。お子さんの親権を取りたい場合は、その方が調停で有利に働く場合が多いからです。
まとめ
準備しなければいけないことがたくさんあるなと驚かれた方が多かったのではないかと思いますが、拙速な離婚は将来に悔いを残します。時間をかけても準備すべきことを一つ一つ丁寧に対応していくことがご自身の将来にとって必ず有益だと思います。