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別居時に婚姻費用算定表を正しく利用して請求できる金額を計算する方法

婚姻費用
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やむを得ない事情で夫(妻)と別居に至った場合に、生活費に困ることもあるでしょう。

 

このような場合に生活費を確保する方法として、相手方に婚姻費用を請求することができます。

 

その時にまず気になるのは、「婚姻費用ってどのくらいもらえるの?」ということではないでしょうか。

 

今回は、裁判所も基準として利用している婚姻費用算定表を使った計算方法について書いていきます。

 

1、婚姻費用は話し合いで自由に決めることができる

 

そもそも婚姻費用は、法律上明確に金額が決まっているものではありません。

 

夫は収入があって妻が専業主婦なのに夫が支払いを拒んだためにまったく支払われない、という事例もあれば、離婚した俳優の高島政伸さんはモデルの美元さんに毎月45万円ほど支払っていたそうです。

 

前者の事例でも調停をすることなどにより婚姻費用を獲得できる可能性は高まりますが、調停の場でも通常の話し合いでも、交渉を有利に進めるためには適切な金額がいくらかを知っておくことが重要です。

 

そのような事態を避けるためにも、適切な婚姻費用の金額を計算しておくことは重要です。

 

2、婚姻費用の金額決定に影響する事情は?

 

基本的に話し合いで自由に決める事ができる婚姻費用ですが、一般的には以下の事情を考慮して金額が決定されます。

 

(1)支払う側の年収

 

支払う側の年収が多ければ多いほど、婚姻費用の金額も大きくなります。

 

(2)受け取る側の年収

 

受け取る側の年収が少なければ少ないほど、婚姻費用の金額も大きくなります。

そのため、専業主婦の場合は婚姻費用も比較的高額になる傾向があります。

 

ちなみに、婚姻費用を請求するには、収入があっても問題ありません。少しでも収入に差があれば婚姻費用の請求は可能です。

 

(3)子どもの人数

 

婚姻費用には子どもの養育費や子どもの教育費が含まれます。

そのため、子どもの人数が多いほど婚姻費用も高額になる傾向があります。

 

(4)子どもの年齢

 

子どもが大きくなるほど教育費なども多めにかかる傾向にあるでしょう。

婚姻費用には子どもの教育費も含まれます。そのため、子どもの年齢が高いほど婚姻費用も高額になる傾向があります。

 

3、婚姻費用算定表の正しい見方

 

婚姻費用算定表とは、家庭裁判所において、婚姻費用の算定をする際に参考として利用している資料です。離婚調停などでもこの婚姻費用算定表に基づき話し合いが進められます(参考:養育費・婚姻費用算定表-裁判所)

 

(1)婚姻費用利用の手順について

 

婚姻費用算定表の利用の手順は以下の通りです。

 

1.子どもの人数と年齢から利用すべき婚姻費用算定表を選ぶ

2.支払う側の年収を確認→婚姻費用算定表の縦軸で該当する金額を確認し、右に線を引いていく

3.もらう側の年収を確認→婚姻費用算定表の横軸で該当する金額を確認し、上に線を引いていく

4.両者の年収(2本の線)が交差するポイントが婚姻費用の金額

 

では、具体的にみていきましょう。

 

(1)子どもの人数と年齢から婚姻費用算定表を選ぶ

 

婚姻費用算定表には子どもの人数や年齢に応じて以下の10種類があります。

現在の子どもの人数や年齢に応じて適切なものを利用して下さい。

 

①子どもがいない場合

 

・夫婦のみの場合の婚姻費用算定表

 

ちなみに、離婚しても子どもがいない限り養育費はもらえませんが、婚姻費用は別居していれば婚姻中でももらうことができます。

 

②子どもが一人の場合

 

・子どもが0歳~14歳の場合の婚姻費用算定表

・子どもが15歳~19歳の場合の婚姻費用算定表

 

③子どもが二人の場合

 

・0歳~14歳の子どもが二人の場合の婚姻費用算定表

・15歳〜19歳の子どもが二人の場合の婚姻費用算定表

・15歳~19歳が一人で0歳~14歳が一人の場合の婚姻費用算定表

 

④子どもが三人の場合

 

・0歳〜14歳の子どもが三人の場合の婚姻費用算定表

・15歳~19歳が一人で0歳~14歳が二人の場合の婚姻費用算定表

・15歳~19歳の子どもが三人の場合の婚姻費用算定表

 

(2)支払う側の年収を確認

 

ここは、支払う側が給与所得者か自営業かで表の見方が変わります。それぞれ分けてみていきましょう。

 

 ①支払う側が給与所得者の場合

 

給与所得者の場合、縦軸の「給与」の方を見ます。

年収の確認方法としては源泉徴収表を利用することがよいでしょう。年収にあたる金額は、源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)です。

 

なお、毎月の給与明細書で確認することもできますが、これを12倍しただけでは賞与や一時金などが含まれず、実際上の金額よりも少ない金額で算定することとなり、もらえる婚姻費用も少なめになってしまう可能性があるので注意が必要です。

 

② 支払う側が自営業者の場合

 

自営業者の場合、縦軸の「自営」の方を見ます。

年収の確認方法としては確定申告書を利用しましょう。年収にあたるのは「課税される所得金額」です。

 

場合により実際には支払われていない費用(青色申告控除、基礎控除等)がある場合には、これらの費用を「課税される所得金額」に加えたものが年収となります。

 

(3)支払われる側の年収を確認

 

ここも支払う側と同じように給与所得者か自営業かで表の見方が変わります。「3ー(2)支払う側の年収を確認」と同様に年収を確認した上、それぞれ横軸の「給与」「自営」の部分を見てみましょう。

 

(4)両者の年収(2本の線)が交差するポイントが婚姻費用の金額

 

支払う側と支払われる側の年収を確認したら。年収の線が2本が交差するポイントを確認しましょう。

確認の方法は以下の画像を参考にしてみて下さい。

 

こちらは夫が年収500万円の給与所得者で妻がパート代で年収100万円の場合で9歳の子どもと6歳の子どもがいるケースです。以下の通り、婚姻費用は8〜10万円となります。

 

子どもが2人の場合の婚姻費用算定表の利用の事例 のコピー

4、婚姻費用算定表に基づく婚姻費用の事例

参考までに、いくつか婚姻費用の金額の事例をみていきましょう。

近い事例を確認してご自身がいくらくらいもらえるかの参考にして下さい。

 

(1)夫婦のみの場合

 

・夫の年収が600万円で妻の年収が0円の場合、婚姻費用は8〜10万円となります。

 

(2)子ども一人の場合

 

・子どもが2歳で、夫の年収500万円で妻の年収が0円の場合、婚姻費用は8〜10万円となります。

・子どもが5歳で、夫の年収450万円で妻の年収が100万円の場合、婚姻費用は6〜8万円となります。

・子どもが7歳で、夫の年収400万円で妻の年収が300万円の場合、婚姻費用は2〜4万円となります。

 

(3)子ども二人の場合

 

・子どもが5歳と3歳で、夫の年収500万円で妻の年収が0円の場合、婚姻費用は10〜12万円となります。

・子どもが12歳と9歳で、夫の年収450万円で妻の年収が100万円の場合、婚姻費用は8〜10万円となります。

・子どもが17歳と10歳で、夫の年収400万円で妻の年収が300万円の場合、婚姻費用は4〜6万円となります。

 

(4)子ども三人の場合

 

・子どもが19歳と17歳と16歳で、夫の年収500万円で妻の年収が0円の場合、婚姻費用は12〜14万円になります。

・子どもが15歳と12歳と9歳で、夫の年収450万円で妻の年収が100万円の場合、婚姻費用は8〜10万円とになります。

・子どもが7歳と5歳と2歳で、夫の年収400万円で妻の年収が300万円の場合、養育費は4〜6万円となります。

 

まとめ

 

今回は婚姻費用算定表を利用した婚姻費用の計算方法について書いていきましたがいかがでしたでしょうか?適切な金額を知って確実に婚姻費用を獲得してもらえれば嬉しいです。

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