離婚するタイミングにおいて、もし結婚後相手の財産が増えたという状況があるならきっちり財産分与を請求しておきましょう。
とはいえ、特に財産が多い場合にはなかなか話し合いでは決着がつかないことが多いようです。そんな時に有効な方法として調停があります。もっとも、調停は裁判所で行われるので敷居が高いと感じる方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は調停を利用する際の参考となるよう、
・調停で財産分与請求するメリット
・財産を隠す相手に全財産を開示させる方法
・調停の申立て方法
・調停の流れ
について記載していきます。ご参考にして頂ければ幸いです。
1、調停で財産分与請求するメリット
話し合いでも財産分与請求は可能ですが、当事者同士の話し合いだけではまとまらないようなこともあるでしょう。
その場合に調停の場で財産分与について話し合うことになりますが、調停で財産分与の話し合いをすることには以下の3つのメリットがあります。
(1)問題が解決しやすい
第三者が介入する事で夫婦(元夫婦)が冷静に話し合いを進めることができます。そのため、話がまとまりやすくなります。
(2)相手が財産を渡さない場合に比較的容易に財産を獲得できる
調停で話がまとまれば、調停調書が作成されます。調停を調書があれば、裁判をせずに強制執行(差し押さえ)が可能となります。
そのため、仮に相手が財産分与を支払わない場合に比較的早期に回収できるようになります。
(3)相手と会わずに話を進めることができる
離婚に向けた話し合いをするにあたり、相手と会いたくないこともあるでしょう。調停では、調停委員が交互に話を聞くので、相手と会わずに話し合いを進めることができます。
財産分与請求を離婚調停で行うには以上のようなメリットがあります。
逆にデメリットしては、具体的な状況に応じて数ヶ月〜1年ほどの時間がかかってしまうことが挙げられます。
2、調停をすれば相手に全財産を開示させられる?
「貯金はない!」との一点張りで相手が通帳を開示してくれなかったり、別居後に取得した退職金の明細を開示してくれないこともあるでしょう。
そのように相手が財産を隠している場合に財産を開示させることはできるのでしょうか?
(1)調停をしたからといって相手が財産を開示してくれるわけではない!
財産分与の場合、相手の財産の全てを把握できないとどうしても獲得できる金額が減る傾向があります。
そうすると、何とかして強制的に財産を開示させたいところでしょう。
このような場合に、「調停の場では強制的に財産が開示されるんじゃないの?」と思われている方がいらっしゃいますが、そうではありません。
(2)弁護士会照会制度を利用すれば相手の財産を確認できる可能性があ
このように、調停の場でも相手方の財産の開示を強制できるわけではありませんが、「弁護士会照会制度」を利用することで相手の財産を把握することが可能となります。弁護士会照会とは、弁護士が依頼を受けた事件についてその事実関係を調査するために設けられた法律上の制度です。
前提として弁護士に依頼する必要がありますが、この制度を利用することによって相手の預金残高などを調べることができる場合があります。
3、財産分与の割合の相場は?
実際に調停をするにあたって、財産分与の割合の相場を知っておきましょう。
財産分与の割合の相場ですが、基本的には2分の1となります。
つまり相場としては、結婚期間中に夫婦が共同で増やしたとされる財産の半分をもらうことができます。
なお、裁判でも2分の1と判断されるケースが多いので、調停の場でも調停委員は財産分与の割合を半分にする方向で調整を試みる傾向があります。
4、調停の申立て方法
(1)財産分与を争う調停には2種類ある!
まず財産分与について争うことができる調停としては以下の2種類があります。
もし、財産分与についてのみ争えばよいということであれば、下記①財産分与請求調停を利用すればよいでしょう。一方そもそも離婚するか否かももめているということであれば、②夫婦関係調整調停を利用しましょう。
①財産分与請求調停
財産分与についてのみ話し合う調停です。
②夫婦関係調整調停(離婚調停)
離婚全般について話し合う調停ですが、慰謝料や財産分与について話し合うこともできます。
このように2つの制度があります。もっとも、いずれの調停も申立て方法や流れなどは類似しています。
(1)申立てに必要な書類
まずは申立てに必要な書類を集める必要があります。
具体的に必要なものは以下の通りです。
・調停の申立書およびその写し1通ずつ
・離婚時の夫婦の戸籍謄本
・財産目録
・夫婦双方の財産に関する書類(退職金の明細、給与明細、預金通帳写し、不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書等)
(2)申立てにかかる費用
次に申立てにかかる費用は以下の通りです。
①収入印紙 1200円分
収入印紙は郵便局で購入することができます。
②連絡用の郵便切手 800円分程度(裁判所によって異なります。)
申し立てされる家庭裁判所へ確認してください。
(3)申立て先の裁判所
原則として相手方の住所を管轄する家庭裁判所となります。
その他調停の申立て方法について詳しくは、「離婚調停を有利に進めるための申し立ての方法について」をご参照下さい。
5、調停の流れ
調停は以下の流れで進みます。
流れをみてイメージして頂き、できるだけリラックスして調停を進められるようにして下さい。
1.家庭裁判所へ調停の申立て
2.調停期日の決定
3.第一回の調停
4.(必要であれば)第二回以降の調停
5.調停の終了
まとめ
今回は財産分与を調停で獲得する方法について書いていきましたがいかがでしたでしょうか?内容をご参考頂き、きちんと財産分与を獲得してもらえれば嬉しいです。